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「古井三咲はこう言った。『商店街には野良犬が住み着いていて店を襲っていることもある』と。『商店街にはいつもお世話になっているから自分も協力してあげたい』と。ここまで言われたら男のおれが一肌脱がないわけにはいかない」
演説のように口は滑らかだ。
ちなみに話に出てきている古井三咲とは礼一が片想いしている同級生の名前ね。
「い、意味が分からない。おい、五十嵐。こいつの言っていることは本当なのか嘘なのかはっきりしろ」
うわっ、僕にまで飛び火させるなよ。
「んー、本当だと思いますよ? 礼一の行動理由の九割九分九厘が古井さんで占めていますから」
これが冗談ではないのが彼のすごいところである。
「まあ、僕も協力して商店街の野良犬を撃退するために――」
ここで一つ咳払いを挟む。
「――一緒に町にたまねぎをばらまいたんです」
このときの僕は、恥ずかしいくらいにドヤ顔を披露していたことだろう。おまけに指で鼻の下を擦りながら。
「そういうことだ」
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