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「え…………」
僕は神社の境内に立っていた。
大会の後、僕は先生の車に乗って直接家まで送ってもらったはず。
そしてその後……
「ああ、夢か」
そう結論付けた。
それ以外ありえない。家に帰った僕はお風呂にも入らずに自分の部屋へと向かい、そのままベットで寝てしまったはずだ。
一度気づいてしまえば、ここのおかしさが目に付く。
空は雲も星一つない暗闇なのに、周りの様子はちゃんと見える。神社の外を見てみても、街明かりが全くない。完全に夢の中だ。
『――――――』
何か、何か聞こえる。
『……………………だ』
「誰?」
『………………ぜだ』
声はだんだんと聞き取りやすく、そして近づいてきている。
『……何故だ』
はっきり聞こえる。
『何故、拒んだ』
太く響く、重い声。
「拒んだっていうのは……」
『……我が手を貸してやったというのに』
大会でのあの出来事。それを自分の仕業だと、この謎の存在は言っている。
『神である我があそこまでしてやったというのに、何故歩みを止めた』
――神。たしかにそう聞こえた。
ここは夢の世界だ。だからこの声もただの夢。
だけど――――僕にはこの声が本物の神様だと納得してしまう。
あんなことを出来るのはたしかに神様しかいない。
そしてこの声を聞くと、ひどく落ちついて心にスッと落ちてくる。
「違う。……そう思いました」
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