1.予測

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1.予測

 子供達が帰ると、私は今日測定したばかりのタイムを予測値と照らし合わせてみた。  見事なまでに一致している。  低学年の時点では予測の精度も今ひとつだったが、さすがに十二歳ともなると予測のベースとなるデータの蓄積量もそれなりになっているため、実測値からのズレは文字通り誤差の範囲内だ。  そうなると、これから先も恐らくは予測の通りになるのだろう。    彼にとっては、不幸なことに。  私は、一人の生徒の予測値に再度目をやって、溜息をついた。彼が次の試験で落ちることは、もう決まったようなものだ。そして落ちたが最後、もうこの養成所にはいられない。  私の受け持ちでこの学年までただ一人残った、最後のブロンズランク・ジーンホルダーもここまでか。だが、これでも十分に健闘したと言うべきなのかもしれない。ブロンズどころかシルバーランクも既に過半数が脱落し、ゴールドランクからの脱落者も散見されるくらいなのだ。
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