エピローグ

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エピローグ

 翌日は久々の休みだった。  しかし休日であっても、やることは平日とあまり変わらない。ただ指導する相手が違うだけだ。 「あのねパパ、この前の体育でもね、クラスで一番になれたんだよ!」  公営のグラウンドに向かう途中、今年八歳になる息子は嬉しそうに報告してきた。 「そうかそうか。さすがパパの息子だ」  私は微笑みながら、息子の頭をわしゃわしゃと撫でる。  息子が生まれた時、私も財団の遺伝子検査を受けさせた。  正直、期待しなかったと言えば嘘になる。仮にもかつての日本代表である私の子供なのだ。  だがどれだけ待っても、養成所への入校申込書が届くことはなかった。  それは、まあつまり、そういうことだ。  その後、気になって私自身の遺伝子も調べた。養成対象ではない成人の場合でも、有料で検査してもらうことはできるのだ。  私もまた、ランク外だった。
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