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第3章 トイレの神様?いや、鬼です
うちは千代伊(ちよい)。飲みに連れて行ってもらうと「お酒は弱いんです~」と言って先輩を油断させ、ガバガバ飲んで、大量のお酒を奢ってもらう。本当はお酒が千代伊(強い)女の子。そんなうちが、人生最大級の三度目の危機を迎えている。
カラカラカラ・・・。乾いた音だけが虚しくトイレの中に響く。いくらトイレットペーパーの芯を回しても無い無い無い。周りを見渡しても無い。そう、結局やはり紙が無いのだ。
「逆に自分に腹立つ!最初に確認しろよ!ことわざもあるのに。ピクニックでは、オニギリより大好きな、持って行ったら周りに「女子力たかっ!」と言ってもらえる食事。そう、二度あることはサンドイッチ!」
千代伊が巧みな言葉の技、略して“ことわざ”を言っていると、これまたガタッと音がした。
「待ってました!」
と言わんばかりに三度目のトイレットペーパー投入である。
千代伊はまた声をかける。
「あの~いつもありがとうございます。私にとっては貴女様はトイレの神様です」すると思わぬ返事が返って来た。
「ふっ、私は神様ではないよ。ただの鬼です」
そう言うと、タッタッタと足早に走り去る足音だけが聞こえた。
千代伊にはどういう意味かわからなかった。
次の日に千代伊の職場に衝撃が走った。なんと社長が女子トイレの覗きで逮捕されたのだ。職場の女子たちはザワついていた。千代伊はそこでハッと気がついた。
「まさか、神様じゃなくて鬼って言っていたけど、鬼は鬼でも女子トイレの覗“鬼(き)”?」
千代伊は自嘲の笑みを浮かべ最後に言った。「まあ、逮捕されたからこれで鬼退治は出来たからいいか」
千代伊の職場のトイレにその後、トイレットペーパーは常備されたそうだ。
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