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褒められたものじゃない
何なら認められるものでもない
「嫁がさ、怪しがってるから」
けれども それでも
「メールするのやめよう」
貴方は私の恋人。
……またひとつ増えた制約に、私は「わかった」とだけ素直に返す。
こういうことは何回かあった。
初めは「バレたら怖いから」だった。
“会うのは夜だけにしよう”
“頻度は少なくしよう”
“電話はやめよう”
“休日は連絡をとらないようにしよう”
そして今日の“メールはやめよう”
月日が経つたび増えていくこの制約に、頷くことしかできない私。
(だって、そうでしょう?)
ひとつでも否定してしまったら……
もう会ってくれなくなる。
会えなくなる。突き放される。
それがとてつもなく怖くて。
今日もまた頷いて、ホテルに向かい、セックスをして。
愛の言葉を囁いて、囁かれて、帰るだけ。
私は一人暮らしの部屋に。
貴方は奥さんの待つ家に。
愚かだと誰かが言った
許されないと叱咤された
けれど私はやめられない
……やめたくない。
(だって、こんなに好きなんだもの)
好きになった人がたまたま結婚していただけ。
……それだけ。
苦悩は多い。けれど、私は幸せだから。
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