世界中に叫びたいの

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仕事を終え、タイムカードを切る。 帰り支度をして会社を後にする。 駅まで徒歩15分。その途中にある公園に、見慣れた車が停まっていた。 駆け寄る。 「久文さん!」 運転席を覗き込むと、優しく笑う彼の姿がそこにあった。 「来てくれたんだ……」 電話もメールも不可になってしまったため、2人で会う時はここの公園で待ち合わせることにしたのだ。 事前の連絡はないから、少し不便だけれど。 不満はない。 人に見られる前にと素早く車に乗り込んで、挨拶がわりに軽いキスをひとつ。 傍から見ればバカップルだろうな、と嬉しくなりつつも、周囲には気を付けて。 「今日は大丈夫だった?予定とかないの?」 「うん」 いつ来るかわからないから滅多なこと以外では予定を入れないようにしている。……ということは、彼には秘密。 「じゃ、行こうか」 その言葉を合図にアクセルを踏む。 軽いエンジン音がしてゆっくりと進み始める車に乗り心地の良さを感じつつ、私にとっては少し広い助手席に居心地の悪さを感じていた。 信号待ちで、何気なく後部座席に目をやると そこには新品のベビーシートが置いてあった。 「生まれたの?」
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