世界中に叫びたいの

6/8
前へ
/8ページ
次へ
これから帰るという旨を伝え切られた電話。 後ろから彼を抱き締める。 「ねぇ、次はいつぐらいになりそうなの?」 「……」 暇を見つけて会いに来る彼。その日時に予測などできない。 例えば奥さんが実家に帰っていたり。例えば奥さんが遊びに出ていたり。例えば…… 奥さんの具合が悪くて臥せっていたり。 そんな時に会いに来る。 だから、“次はいつ”なんて愚問なのだ。 けれどどうしても聞きたくなる。 無駄だとわかっていても。 次回があると期待できるから。 彼はゆっくりと身体を返し私の腕を離した。 いつもならそのままキスをしてくれるのに今日は黙ったまま。 違和感を覚えた私は彼の顔を覗き込む。 「どうしたの」 彼は重い唇をゆっくりと動かした。 「別れてくれないか」 …………。 ………………………… 時が止まったような気がしたの 世界がおわったきがしたの だってあまりにも突然だったから (……朝) 気だるい身体を起こし時計を見る。時刻は朝の5時。少し早起きすぎたかなとぼんやり。 今日は久々の休日出勤で、目覚まし時計は6時にセットしていたのだが。 どうせ起きてしまったのだからと着替えを始めた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加