記憶の残香

前進

激しいiPhoneの着信音で目が覚めた。

どうやら昨日知らないうちに寝てしまっていた様だ。コンタクトレンズをしたまま寝ている事からそれが分かった。
部屋の窓から強烈な光が差し込み、乾いた目を照らす。

その目を擦りながら、激しい振動と音を放つiPhoneの画面を見ると鳴からの着信を記していた。

「もしもし」

「おはよう、時間がないわ、今すぐ家を出て」

朝早くから一体どうしたのだろうか？

「どういう事？ 」
時計を見るとまだ時刻は朝の８時だった。

「説明している暇はないわ。 とりあえず早く出てきて！ 後で説明する」

鳴の声はそう言ったきり聞こえなくなった。
起き上がり部屋の中央のテーブルを見るとそこには一枚の紙が置いてあった。