手掛

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それは僕も同じ事を思っていた。 もし奥蓮さんが目立つ存在の生徒でなかったとしても、似ているとか兄弟みたいとか、そういう噂が流れてきても良いはずだ。 本当にそっくりなのだ。僕と兄貴以上に似ている。 「一度も部長に似ている三年生がいるとか愛ちゃんと付き合っているとかそう言った事も私は聞いた事がない。 ねぇ、奥蓮は何者なの? 」 奥蓮さんは存在する。実際に僕達がこの目で見ている。しかし僕達は奥蓮さんの事を何も知らない。 けど、兄貴はクラスに奥蓮さんがいると言っていた。僕達が知らないだけなのだろうか。 「遊! ちょっと外出てくる! 」 二階から兄貴の声が聞こえた。どこかに行くのだろうか? 「どうしたの? 」 「いや、兄貴が…… 」 そう言うと少し間が空いて、鳴は僕が喋り出すのを待っているかの様に無言になった。
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