手掛

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「ん…… 」 兄貴はそう言うとコンビニの袋の中から二つ弁当を出してテーブルに広げた。 弁当を買いにいってくれていたのか。 「ありがとう」 そう言って僕はすぐさま弁当に食らいついた。 いつも食べているコンビニの弁当だが、お腹が空いていたからかとても美味しく感じる。 「今日はもうこれ食べたら寝ろ」 兄貴は弁当を食べながら僕の方を見向きもせずそう言った。 「そうするよ」 弁当を完食し、ゴミをゴミ箱に入れて自分の部屋に戻ろうとして居間を出ようとした時に後ろから兄貴の声が聞こえた様な気がした。 「なんか言った? 」 「なぁ、奥は…… いや、何でもない」 何かを言いかけたが兄貴は、何か考える様な素振りをして口を閉ざした。 「ん? 」 「何でもない。 おやすみ」 「おやすみ」 何を言いかけたのか気になったが、あまり問い詰めるのもよくないと思いそのまま居間を出た。
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