手掛

27/27
前へ
/222ページ
次へ
居間を出て廊下に出ると二階へと続く階段を上って自分の部屋に入り、今日鳴が胡座をかいて座っていたベッドに腰掛けた。 今日は疲れた。 色々な事がありすぎて頭がパンクしそうだ。 明日起こる事と今日起こった事をメモした紙をテーブルの上に置いた後、ベッドに横になり頭の中を真っ白にしようと思い目を瞑る。 頭の中で今日あった出来事が走馬灯の様に流れて、森咲さんと別れの挨拶をする鳴の顔が浮かんだ。 本当に辛かっただろう。 鳴の心中を考えると胸が張り裂ける様に痛い。 ふとiPhoneの待ち受け画面を見ると、中学生の頃の僕達が楽しそうに三人並んで笑っている。 もうこの時には戻れない。 それは僕が鳴に未来を伝えたからだ。 再び目を閉じるとあの時の事がフラッシュバックの様に僕を襲った。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加