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鳴は行ってしまった。
僕はただただ走り去るタクシーを見ている事しか出来なかった。
遣る瀬無い気持ちが腹の底から湧いてくる。
何にもできない自分に苛立つ。
僕は本当に原君に何も言っていないし、殺してやろうとも思った事もない。
鳴の信用を無くした。僕はそれが一番辛い。
鳴の為に原君を助けようとした。確かに原君を助けたい気持ちもあったがそれ以上に鳴を悲しませたくなかった。それがいけなかったのだろうか。
僕は膝から崩れ落ちた。
夕陽はもうほとんど見えない。
もうすぐで、事故が起きる。
僕は間違っていたのだろうか。
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