二限目 にゃんこ教授と幽霊

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「夜になると、館内を歩き回ってペンキをかけた生徒を探している。  なんて信じている生徒も、未だにいるらしいですぅ」  部屋の四隅にある盛り塩を見つけてしまい、火野が引きつった笑みを漏らした。  もし赤い像が、窓際に立っていたとしたら。  それはまるで階下を見降ろしている、女の姿に見えるのではないだろうか。 「ずいぶんと暗い部屋だな」 「窓には暗幕。  わざと光を遮っているのね」   電気を点けた部屋には、そこかしこにアルバムがうずたかく積まれている。  壁は風景写真や、笑顔の女性、鳥などの写真が一面にテープで貼ってある。 「写真部かしら。  ずいぶん古そうなカメラね」  火野はフィルムケースをもてあそびつつ、古びた写真を壁からひっぺがした。 「悪趣味な写真だな」  演劇直後らしい服装の、男女五人の集合写真だった。  興味本位で覗き込んだ統括長も、うっと顔をしかめた。  列の右端には、真っ赤なワンピースを着た女性。  しかも顔部分を黒いマジックで、徹底的に塗りつぶしてある。  埃をかぶった机の引き出しには、輪ゴムで束ねた写真の束。  四号館をバックにした風景写真だ。  ハレーションのせいだろうか。  ほぼ全ての写真に、赤い光線が写り込んでいる。 「気持ち悪うぃ。  出ましょうよ、こんなとこぉ」  鶴崎統括長に同意し、私達も早々に退室。
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