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翌週の火曜四限目。
探偵学とかいうゼミは、オリエンテーションを終えようやく講義の開始となった。
十人ほどいたゼミ生。
見切りをつけたのか、私を除いて五人という有り様だった。
「本日はフィクションに登場する毒物と、実際の毒物の効能を比較し――」
「はい、にゃんこ教授。
質問、質問いいですか」
火野が元気良く、右手をぴんと伸ばし挙手。
「にゃんこ教授?
というか君は誰だね」
必死に笑いを堪えるゼミ生一同。
彼らを気にも留めず、教授はけげんそうな顔をする。
しょうがなく、私は挙手し苦し紛れの弁解を始めた。
「私へのサプライズパーティー事件ありましたよね。
あの真相を、事前に言い当てていた人がいると説明したら。
どうしても一度会いたい言って、聞かなかったので」
ふむ、と値踏みするようにじろじろと、教授が火野を見つめる。
「我輩のゼミを志望するとは、お目が高い。
志望理由を教えて貰おうか」
「かっこいいからです!
探偵マンガとか結構集めてます!」
ついにこらえきれなくなった、ゼミ生一同の笑いが爆発。
「その意気やよし。
聴講生としてなら、出席を認めてやらんでも無い」
「えっ。いいんですか!」
思わず私のほうが大声を上げてしまう。
「ただし条件が一つ」
教授が真顔に戻る。
「学内に蔓延る噂の真相を何か一つ、二人で調べて来たまえ。
成果次第では、聴講を許そう」
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