二限目 にゃんこ教授と幽霊

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 ぶつぶつつぶやきながら、顔が見えた窓とは反対側の空き教室四つを覗く火野。 「今は文化系サークルの倉庫として、使われているみたいよ」 「残る調査対象は倉庫だけか。  あいにく鍵を持ってない。    日を改めて、出直すとしよう」  どこかほっとした口調で、火野が愚痴をこぼす。  足跡の無い部屋。  ロッカーで塞がれた窓に現れた顔。  ドアを乱打したかのような騒音。  直後に四階へ現れた、赤いワンピースの女。  幽霊の謎が、私たちを嘲笑うかのように立ちはだかる。  一番気になるのは、火野と私の見た顔の表情が違っていたことだ。  でも私が見た顔は、見間違いなんかじゃなかった。  「気をしっかり持てよ、わんこ」  ぼんやりしていたらしく、火野にばんっと肩を叩かれた。 「赤いワンピースの女は、どこに消えやがった」 「私達とは反対側の階段から、降りたと思う」 「なんのために、こそこそと逃げ出す必要が?」  私は何も答えられなかった。
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