二限目 にゃんこ教授と幽霊

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「君達フラメンコサークルが、人目を忍んで練習していた。違うかね」 「おっしゃる通りです。  でもどうしてバレたんですか?」  しょんぼり俯く赤羽さんに、教授が得意気に演説をぶつ。 「幽霊の特徴は三つあった。  赤いワンピースを着ている点。  激しく体を震わせていた点。  一階まで響くほどの騒音を出した点。  最初の倉庫の話を聞いた時、全てが繋がった」 「がらくた置き場にしか、見えませんでしたよ」  私の指摘に、火野もうんうんと頷く。 「つま先と踵に、釘を打ったシューズを見ただろう。  いったい何のためか。  合板の話で、ピンときたのさ。  釘の頭を床に打ちつけ音を出す為の、ダンスシューズだとな。  タップ練習の道具なのだよ。  直接床の上で練習しては、傷がつく。  だから保護のために合板を用意してあった。  後は窓のスペイン国旗を組み合わせ、フラメンコだと気付くことができる。  赤い女は激しく動いていた。  回転の練習をしていたからだ」 「事故多発のブロンズ像は、どう関係するのですか?」 「ブロンズ像は、アメフト部五人でやっと運び上げた。  わんこ君達が上がって来るまでに、動かすのは不可能だ」 「赤い女性の絵画は?」 「壁に固定されていたなら、動かすことはできない」 「でもどうして、こそこそと練習したりなんか」  火野のもっともな質問に、ゼミ生から同調の声が上がる。
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