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午後一時半の、法学部棟小教室。
カリキュラム通りのレジュメを、正面の机から取る。
謎の自信に溢れた教授が、教壇で朗々と講義を始めた。
「本日は検死の重要性ならびに、司法解剖により他殺が判明した実例を挙げ――」
「はい、にゃんこ教授。
質問、質問いいですか」
火野が元気良く、右手をぴんと伸ばし挙手。
昼食後のいい眠気覚ましになる、とゼミ生からはもっぱら評判だ。
「積極的な質問は、いつでも歓迎するぞ」
「透明人間は実在しますか?」
ふむ、と教授が目を細める。
「興味深い質問だな。
わんこ君、説明してもらおうか」
「一子です。いい加減覚えてください」
教授のうながすまま、教壇へ上がらされる。
ゼミ生の好奇に満ちた目を受け、私は事件の概要を発表し始めた。
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