拳銃紛失

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ある日、警察の保管庫から一丁の拳銃が無くなった。 それを知った保管庫の管理官は呟いた。 「穴埋めするしかないな」 無くなった拳銃の持ち主である巡査は呟いた。 「穴埋めするしかないな」 保管庫の警備をしていた係官は呟いた。 「穴埋めするしかないな」 次の日、保管庫には同じナンバーの拳銃が三丁置いてあった。拳銃の指紋である線条痕も全く一緒だった。 署長は呟いた。 「隠すしかないな」 それからしばらくして事件に使用された拳銃の線条痕が警視庁に登録された拳銃と一致した。直ぐに監察官が調査して隠蔽が発覚した。署長は泣きながら隠してあった二丁の拳銃と合わせて三丁の拳銃を監察官の前に置いた。 「仕方ないですね。三丁の存在は隠しておけばいいでしょう」 そして監察官はただの拳銃紛失事件として発表した。 それからしばらくの間、事件で拳銃が使用されるたびに同じ線条痕の拳銃が使用された。警察の地下には同じ線条痕の拳銃がダンボール箱に詰められて山積みにされている。秘密の保管庫の管理官は呟いた。 「線条痕って価値あるのかな?」
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