ひだまりの記憶

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 一体、何やってきたの! 水が滴り、足跡だらけの泥だらけ状態の廊下に、茫然と口を開ける月子に、息子はさらりと口を開いた。 「んー、高校生になってまで、人の事を化け物だのなんだの言って、小学生(オレたち)をいじめてきた秋月のアホ息子に、制裁かましてきた」 「やー、アイツ、家柄とか偉そうなこと言う割にはホント弱いし、口だけだよね。あ、オレたちが強すぎるのかー。うっかりうっかり」  雷月に同調するように、永都がふふんと笑う。 「あ、あのね。おばちゃん……一応オレは止めたんだよ?」  全然止まらなかったけど……とうなだれる十河に、「裏切者!」と、雷月が叫ぶ。  月子は大体の様子がわかった。というか、未来視なくても理解した。ほぼ、いつもの通りだ。 「いや、ホラ。オレたち、安曇の騎士だし!」 「騎士様は、弱い者いじめ(そんなこと)しません!」  開き直ってふんぞり返る息子に、月子は頭をかかえる。その様子がおかしくて、つい、安曇の口に、笑みがこぼれた。  安曇はとっさに顔を覆ったが、どうやら、月子は見逃さなかったようで。 「笑っても、いいのよ?」と言うように、やさしく、安曇の頭を撫でた。  ささやかで、他愛もない「時間」だけど、「幸せ」、だと、安曇は密かに思った。
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