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「行ってきまーす」
ある日、ソラが元気よく玄関を飛び出して行った。
行ってらっしゃいご主人様。今日は背中が一段と大きく見える。
ソラの姿がスッと雨の中へ消えていく。
あなたは出会った頃からぱっとしない人だったけれど、その声がその優しさがその涙もろさが好きだったわ。
ずっとアタシが傍にいて支えてあげたいけれど、それはもう無理。あなたのことをもっと好きになって好きになり過ぎて、また捨てられたらと思うと怖いの。
大丈夫よ。アタシにはこの美貌があるもの。新しいご主人様なんてすぐに見つかる。
それより早くソラのことを大切に想ってくれる人が現れることを祈っているわ。たぶんきっと、一筋縄じゃいかないような子なんでしょうけどね。ふふっ。
じゃあ行くわ
この二年間、ソラと過ごせて幸せだった
バイバイ
アタシは激しい雨の中、まだ見ぬ世界へと駆け出していった
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