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「ふー……、大崎さん、なにかあった?」
「ちーちゃん」
他の先生も誰もいない。
あたしは乱れた息を整えるように、深呼吸した。
そしてまっすぐにちーちゃんを見つめる。
ちーちゃんはあたしが何をするか察したのか、眉を少し寄せて険しい顔を見せた。
「……ダメだよ、大崎さん」
「言わせて、ちーちゃん」
「大崎──」
「最後くらい言わせてよ! そしてちゃんと失恋させて! もうちーちゃんはあたしの先生じゃないんだからっ!」
「……ふーちゃん」
凄く悲しそうなちーちゃんの顔に、あたしの決意が揺らぎそうになる。でも──。
「ちーちゃん、あたしはちーちゃんがっ」
「まだ俺は君の先生だよ?」
また、あたしの口はちーちゃんの手で塞がれてしまった。
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