最後の失恋

4/7
79人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「ふー……、大崎さん、なにかあった?」 「ちーちゃん」 他の先生も誰もいない。 あたしは乱れた息を整えるように、深呼吸した。 そしてまっすぐにちーちゃんを見つめる。 ちーちゃんはあたしが何をするか察したのか、眉を少し寄せて険しい顔を見せた。 「……ダメだよ、大崎さん」 「言わせて、ちーちゃん」 「大崎──」 「最後くらい言わせてよ! そしてちゃんと失恋させて! もうちーちゃんはあたしの先生じゃないんだからっ!」 「……ふーちゃん」 凄く悲しそうなちーちゃんの顔に、あたしの決意が揺らぎそうになる。でも──。 「ちーちゃん、あたしはちーちゃんがっ」 「まだ俺は君の先生だよ?」 また、あたしの口はちーちゃんの手で塞がれてしまった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!