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二匹の獣が咆哮し。
魔波で城が、崩壊していく。
「がァッッ!!!!!」
バンターが王女へ飛ぶ。
「ッ!!?」
突然目の前に現れたバンターに息を呑むことしかできなかったココウェルとリリスティアの眼前、その床に――雅な意匠を持つ複数の氷の剣が突き刺さる。
『ッ……!?』
驚愕、既に視界にはバンターはいない。
彼は床を滑るように後退し敵――空中におびただしい数の氷宝剣を滞空させる圭を見た。
「何この魔法
このくらいじゃ なきゃあね」
切っ先がバンターを向き、疾駆。
凍気を放つ宝剣が花色の閃光となり、城を貫く。
「グッ――ぁアアア!!」
降り注ぐ一剣ごとに城を削り取っていく貫通力を持った宝剣を避けながら放たれる「遠当て」。
降り注いでいた氷剣を残らず砕き頭部を削り取らんと迫る流星を、圭が予備動作なく顔から後転、天に向いた足で瞬転し着地。
そこに迫っていたバンターに連撃を叩き込まれ――三発目で防御、四発目で拮抗してみせた。
『!!』
「あのバカ力に、負けてねえってのか……」
「いたぁ い じゃない」
「ッ……この、化け物が……!!」
「おかえ 死」
――圭に触れたバンターの部位が凍結する。
「ッ!??! がぁ――」
慌てて剛力で凍結を破壊、離れたバンターが一瞬で広がった床の凍結に転倒。
その背が地に着く前にバンターの上へ跳んだ圭が狂喜いながら――バンターの顔をつかんで地面へ叩きつけ――――一階の床が崩壊。バンターは地下牢獄の床にその背を打ち付けた。
「ごぼ、は――!!?」
「仕方ないわよね ぇええぇ?」
膝でバンターの心臓を押し潰しながら、彼に顔を近づけた圭が嗤う。
「私からまた奪おうとしたんだからさぁあああああああ!!!!!」
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