第1話 触れる唇、つながる体は其の者の名を

10/10
1826人が本棚に入れています
本棚に追加
/2593ページ
◆     ◆ 「……え?」  教師は、帰路(きろ)に倒れる少年を目にとめる。  慌てて駆け寄ると同時に、すぐ(そば)のドアが開く。交番から出てきた警官が、同じように目を丸くする。 「君、大丈夫か? おい、君!――あなたは関係者ですか? この子の」 「と、通りすがりです。でも、この制服はうちの高校の――」  教師の視線の(はし)に、何かが映る。  顔を上げる。少年を介抱(かいほう)する警官の横で、彼女は、走り去っていく金髪の少年を見た気がした。
/2593ページ

最初のコメントを投稿しよう!