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怒り狂う――というより狂い怒った赤毛の少女が、ポニーテールを振り乱しながら叫ぶと――彼女の背後に、数えきれないくらいの水の玉が現れた。
『ちょ、ちょっと落ち着いて、マリスタ! 私は大丈夫だからっ』
『乙女の敵は――――問答無用で粉砕ですっ!!』
少女はブロンドの髪を持つ女性同様、濡れ透けた服の胸元を両手で押さえながら俺を睨みつける。その顔の横ではゆっくりと回転している――球形の水の塊。
滞空した、人の顔ほどもある水の塊。それが少女の声に呼応するようにして――俺へと真っ直ぐに放たれる。
「!?」
投球のように迫る水を身をかがめ、慌てて避ける。体勢を崩し、四つん這いになって逃げる俺の背後で、複数の水玉が弾ける音が聞こえた。
いいや。水玉というより、あれは――本当に水の弾丸。
『逃がさないわよ変質者っ!』
「! ッ、」
突然、目元に衝撃。同時に、ぬるりとした不快な感覚。
しまった、跳ねた泥か――――!
そう思ったときには、顔面に特大の張り手をされたような衝撃を受けていた。
鈍い痛み。遠のく音。倒れ込む体。その衝撃も相まって揺れる脳。
次から次へ起こる超常現象が。衝撃的な記憶が、頭に溢れ返り。
程無く、俺の意識は暗転した。
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