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最後の告白
最初に告白をされた時は、罰ゲームか何かだろうと思っていた。
けれど、罰ゲームよりも酷い。
彼女は、独りだった俺に興味を抱いただけだった。
だからどれだけ「好きだ」と言われても、拒否を繰り返した。
そうすればきっと、どこかで諦めてくれるはずだ。関わらなくなるはずだと、思っていたのにーー。
どれだけ断っても、突き放そうとしても。彼女はこんな俺を知ろうとした。見てくれようとしていた。
いつしか興味しかなかった彼女の眼が、本気だった。
本気で俺の事を、想ってくれていた。
だからこそ、すぐに離れなきゃいけなかったのに。
俺まで、彼女といるのが楽しくなってしまっていた。
彼女が、特別な存在になってしまっていた。
今まで、頑張って友達も恋人も作らないように生きてきたのに。
東由香里のせいで、生きるのが楽しくなってしまった。大事な人が出来てしまった。
「 な くん」
俺が寂しいのは別にいい。
けど、彼女だけには寂しい思いをさせたくなかった。
「南野君」
「なのに……おまえは」
俺を呼び続ける声に、瞼をゆっくり開けた。
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