第1章

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 僕たちが再会をよろこんでいる間、大人達は仏様の部屋で線香をあげたり、あいさつをしている。お盆なので、集まれる親戚がみんなおばあちゃんの家に集まっているのだ。居間にいる僕たちのところまで『どうもお久しぶりで』とか『その後お体の調子は?』なんて聞こえてくる。 毎年毎年、大人は長々とどうでもいいあいさつをしないといけないから大変だなと思った。  でも僕らは子供なので、さっそく遊びにいっても誰も文句は言わない。 「なあ、ちゃんとあれ持ってきたか?」 「もちろん!」  ケンヤの言葉に、僕はずっと肩にかけていたプラスチックの水槽を掲げてみせた。これなら山でセミをとって入れてもいいし、水を入れて魚を入れてもいい。もちろん虫取り網も持ってきているけれど、それは大きいので玄関に立てかけてある。  僕のお母さんとケンヤのお母さんは、田舎にいる間、僕らがスマホとかでゲームをするのを嫌う。せっかくおばあちゃんちに来たのだから、外で遊んできなさいというのだ。  ホントをいうと、最初は不満だった。けど、おばあちゃんの家にいる二日間、昔の子みたいに走ったり泳いだりするのは意外とおもしろいのが分かった。今では毎年楽しみにしているくらいだ。  ここに来る前、ラインで話し合った結果、「最初はセミ採りして、次に魚を捕まえに河へいこう」という計画になっていた。
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