第1章

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 おばあちゃんは慌てて言った。  なんだか急に怖くなって、話を聞いたときの姿勢のまま僕は少し固まってしまっていた。 「なにビビッてんだよショウ! 大丈夫だよ! 早くいこうぜ!」  せっかちなケンヤが僕の腕をつかんでひっぱった。 「あ、う、うん」  僕はひっぱられるまま玄関にむかう。 「じゃあ、行ってくるね!」  ケンヤの嬉しそうな声を聞くと、怖い気持ちもなくなって、僕はなんだかだんだんワクワクしてきた。  僕たちは靴を履いて外へ飛び出した。  漂い始めた線香の匂いが、僕たちの後を追いかけるように流れて消えた。  網に捕まったセミは、大きな鳴き声をあげた。多分、人間だったら悲鳴をあげているのだろう。  虫カゴ代わりにしていたボクの水槽の中には、もう三匹のセミが捕まっている。 「そろそろ放してやろうか」  ケンヤが言った。  僕たちはセミが何匹か集まったら逃がすことにしていた。  なんでもセミは一週間しか生きられないとかで、持って帰ると僕の母さんもケンヤの母さんも「かわいそうだ」怒るのだ。  僕はフタを開けて、水槽を叩いた。セミたちがパニックになりながらバラバラに飛んで逃げていく。 「あれ?」
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