41人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
ラブドール
ある日、ラブドールが動き出した。
「また、目立とうと話を盛って!」と思われるかも知れない。
確かにSNSが隆盛の今、話がどんどん大きくなっているのは解る。
でも僕は、そもそも、これを誰かに話すつもりは無い。
それに、もし、真顔で誰かに話そうものなら「かわいそうに」と、哀れみの視線にさらされるか「おかしな人」と気味悪がられる。
いや、かく言う僕も実のところ、ラブドールが動くなんて信じてない。
ラブドールが動いたと思った夜は、必ず、お酒に弱い僕がお酒を呑んで帰宅した時だ。
いつの間にか爆睡し、翌朝、目が覚めてから何度見てもラブドールはラブドールで(当たり前だけど)ピクリとも動かなかったし、動いた気配もなかった。
まあ、そもそも動く方がおかしい。
だから、考えるまでも無く、これは夢か妄想に違いなかった。
僕は女性にモテるタイプだとは思っていない。でも、僕だってこれでも男なので欲望はある。だから、女性やセックスというものに憧れすぎて、酒を呑んだ時に幻覚を見るようになったのかも知れない。
ところで、ラブドールを知っているだろうか?
僕はネットでたまたま、「O工業」のラブドールを見つけて驚いた。
最初のコメントを投稿しよう!