ラブドール

13/27

41人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
それが寸部動いていなかった。つまり、最初からまったく動いていなかったのだ。 でも、楽しい夢だった。あんな夢だったら、もう一度見てもいいな・・・・。 それから2週間後の金曜日にも同じように小夜子が動いた・・・ような気がした。 ドールの小夜子と何か楽しく話をしているのだが、酔って帰っているので、前回と同じように、記憶は定かでは無い。なんとなく、印象で動いていたのでは、と思うのだが、楽しく話をしていた感覚は覚えていても何を話していたのかはほとんど覚えていない。 そして次の日、小夜子はピクリとも動いていなかった。 実は、覚えていないだけで、本物の小夜子が呑み会の後、一緒に部屋まで来ているのではと、思った事もあった。 でも、それだと、ドールと全く同じ服を着ているのが解せない。 それよりも、ドールの小夜子を本物の小夜子に見られたら、その瞬間軽蔑の眼差しを向けられる事は必定だったから、もし、一緒に帰ると言われても(まあ、一緒に帰るなど言うハズないけど)酔っていても絶対に断っている・・・と思う。 覚えてないけど。 「小林主任、最近、少し楽しそうですよね。何か良いことあったんですか?」 月曜日に小夜子に訊かれた。 「いや、別に。まあ、ちょっとね」 「金曜日の呑み会ですか?」     
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加