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でも、彼女からは誰かと付き合っている雰囲気が全く感じられなかったし、同僚の女性に聞いてもそのような事実は無さそうだったので、「好きな人がいる」というのは断るための方便だとみんなからは思われた。
きっと、彼女に釣り合うような男性でないと彼女は興味を示さないのだろうと。
半年ほどしたとき、独身でイケメンの課長と付き合っているのではという噂が流れたが、自分の手に届く相手ではないので、気にならなかった。
いや、正確に言うと気になったが気にしても仕方が無いと悟っていた。芸能人が結婚したとか付き合っているとかいうニュースと同じような感覚だ。
慶応出身でイケメン、かつ優秀で公平な課長は、社内の人望もあり、7000人を越える社員のいるシステム会社の中でもエリートに近い存在だった。
何よりも何故か僕の能力を買ってくれていて、何かと取り立てて、仕事を任せてくれた。
僕も彼を尊敬していた。
彼と彼女は良い取り合わせだと思った。
しかし、その付き合っているという噂は、真実では無かった。
誰かに話さずにはいられなかったのだろう、課長は口の堅い僕にだけ、二人で呑みに行ったときに打ち明けてくれた。
何度か食事に誘った後に、課長が交際を申し込んだらしいが、小夜子はとても気を使って、でも、はっきりと断ったと言った。
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