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『カァー。カァー』と……地味なカラスが鳴いている。
『あぁ……あぁ』と地味な私が空仰ぐ。
あぁ初恋は、儚くも。
そんな言葉で済まされるならまだ、よかった。
いや……夢だ。うん、こんなの夢に決まってる。
きっとフラれたショックで見ているだけの夢なんだ……そうだ、現実を見よう。現実の方が、フラれていた方がまだ……幸せじゃない……ぃ……い。がッ。
「ごガぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
限界だった。
私は腫れ上がるまで頬を引っ張っていた両手を突き上げ、大空に叫ぶ。
“夢ではない”と、ほっぺの痛みが証明するこの世界に吠える。
こうして、私の初恋は始まったのだった。
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