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またしても奇声を上げる私にソウマ先輩は優しく微笑んでくれた。
「さっそくだけど……その、一晩考えて……」
「は……はい……ッ!!」
ありがたい笑顔の後光に気圧されながら、私は固唾を飲んで先輩の解答を待つ。
元々期待していなかったとはいえ、ここまで来た以上、胸踊らずにはいられない。
期待と共にフラれる不安が膨らんでゆく私を、しかし先輩の言葉が打ち砕いた。
「僕でよかったら……付き合ってもらえるかな?」
っしゃァああああああああああああぁッ!!
歓喜。ココロの中で妙に男じみた歓声を上げつつ拳を握り締める。
とにかく今まで感じたことのない幸福が私を満たす。
やった! これで、これでやっと私も彼氏持ち……。
長かった……長かったなぁ鮎河繭美。
中学入学してからグロ系趣味のせいで周囲の女子からはキモいとハブられ、小学生までのノリで恥じらいの無い下ネタを連発した結果、男子から「女として終わっている」と笑われ、放課後になれば楽しそうにはしゃぐ同級生達の声をから逃げるように……ぼっち下校。
でも、そんな日々は今日で終わり。
『今までの私』というマユを破り、今日から私は大空へ羽ばたく……。
――要するに。
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