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「先輩さえ手に入ればお前らなど『へ』でもないわァ……ッ!」
辛かった回想シーンの果て、ラスボス的なセリフを超小声で呟く私。
「あ、あの。ちょっといいかな?」
それに気付いていないのか恥ずかしそうに声をかけてくる先輩。
「はい! 何でしょうか」
思考が危ない方向に行きかけたので、急いで脳を恋愛モードに切り替えた。
すると、先輩はらしくもなく「えっと……あの……」と頬を染めながら、
なにか言いたげに私を凝視する。
え? なになに? もしかして手とか繋いでみたいとか?
いやいや、モテモテの先輩に限ってそんなことで……。もっとハードなことだよね? ね?
キスとかそういう……いや、でも告白してすぐにそれは、ちょっと。
あ~でも男子にとって恋愛ってそういう行為のことなのかな?
い、いいよ…? うん。……こんな私でも好きになってくれたんだから、覚悟はしてる。
「ん。ん~」
とりあえずその気はあることを示すために、ちょっとだけ唇を尖らす私。
先輩はそんな私の顔を抱きかかえるように自分の顔を近づけ――ることなど無く。来てからずっと後ろに隠していた左手を差し出した。
「できれば受け取ってほしい。僕と付き合うなら肩身離さず持っていてほしいモノなんだ」
「えッ?」
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