◇プロローグ ~あぁ、初恋は、|儚《はかな》くも~

4/6
前へ
/6ページ
次へ
「先輩さえ手に入ればお前らなど『へ』でもないわァ……ッ!」  辛かった回想シーンの果て、ラスボス的なセリフを超小声で呟く私。 「あ、あの。ちょっといいかな?」  それに気付いていないのか恥ずかしそうに声をかけてくる先輩。 「はい! 何でしょうか」  思考が危ない方向に行きかけたので、急いで脳を恋愛モードに切り替えた。 すると、先輩はらしくもなく「えっと……あの……」と頬を染めながら、 なにか言いたげに私を凝視する。  え? なになに? もしかして手とか繋いでみたいとか? いやいや、モテモテの先輩に限ってそんなことで……。もっとハードなことだよね? ね? キスとかそういう……いや、でも告白してすぐにそれは、ちょっと。 あ~でも男子にとって恋愛ってそういう行為のことなのかな? い、いいよ…? うん。……こんな私でも好きになってくれたんだから、覚悟はしてる。 「ん。ん~」  とりあえずその気はあることを示すために、ちょっとだけ唇を尖らす私。 先輩はそんな私の顔を抱きかかえるように自分の顔を近づけ――ることなど無く。来てからずっと後ろに隠していた左手を差し出した。 「できれば受け取ってほしい。僕と付き合うなら肩身離さず持っていてほしいモノなんだ」 「えッ?」     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加