紅く染まる、明日はジンクス語り

女の人とリップクリームと心理学

家に帰って、スマホでザキさんの写真を見る。何か新しい写真を更新されていないか、チェック。スクロールしていくと新しい写真が更新されている。それは女の人の写真。その人はとても綺麗に撮られていた。元が綺麗なのかもしれないが。投稿者本人のコメント欄には、「やっと撮らせてもらった！　Yさんの写真。」と書かれてあった。文章から察するに、ずっとザキさんはこの女の人を撮りたかったのだろう。
　少しだけ羨ましいのと同時に、この人は一体誰なのだろう？　という疑問が生まれた。見たことがない人。だけど綺麗な人。女性。Yさんという人。ザキさんに撮られた人。この人が誰なのか詳しい情報は示されていない。その女性を見つめる。頭の中が、この女性のことでいっぱいになった。夏希の頭の中は。

　例の色付きリップクリームは見つかった。しかし気分がなかなかリップクリームに届かない。ポーチの中の口紅を取り出す。そして、丁寧に鏡を見ながら自分の唇に塗る。ノンノンからもらったペンダントとイヤリングをつける。身支度をして大学へ向かう。