血色と傘と口紅

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「ねぇねぇ、誰かに何か言われた? 」 リエは楽しそう。でも、あとの二人も楽しそう。 「似合うねーとか、可愛いーとか。」 「これで男の人に会った? 」 リエのノリに三人ともついてくる。このようなノリは嫌いじゃないが、自分が注目されると、ドキっとする。何せ、誰に何を言われるかが怖い。 「誰にも何も言われてないよ。二限のカワモト先生と授業の後話したけど、何も言われなかったし。」 カワモト先生は社会学の先生で、男の先生だ。 「…もしかして、一番最初に見せることになった男って、カワモト先生? 」 アリサが聞き、残りの二人は爆笑してしまった。しかし、流石に夏希の笑ってしまった。 「それは、違うよ! ネットで知り合った人だよ。今日たまたま会ったんだよ! 」 事実だった。 「へぇー、そうなんだ。」 三人のセリフは棒読みに近い。ノンノンは言う。 「ネットか…、ネットで知り合って現実でも会うって、なんか難しそう。何かあっても気にしない方がいいよ。」 その忠告のような台詞は、夏希に突き刺さった。そうだ。今後二人がどうなるかなんてわからない。知っていることのはずなのに少し心が痛んだ。
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