10話 MOTHER

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ライブはなんの問題もなく、進んでいった。 だがライブの最後に初公開曲を披露するはずの曲の名前決まっていないのだけが唯一の問題だった。 「曲名が決まってないってやばいよね…」 「やばいと思うよ…どうします?」 マネージャーに聞いてもやばい、どうするとしか返ってこなかった。 結局、曲名が決まらぬまま、最後になってしまうと思っていたら、そこにお母さんがきて私を抱きしめた。 「お母さん?どうしたの?ライブ、もう始まっちゃうよ…?」 「…頑張ってね、最後までちゃんと見てるから」 あぁ、この温もり懐かしい。 大切な人がそばに居るって感じられる温かさ。 私は、この温もりを返したくてこの曲を作ったんだ。 普段言えないありがとうを返したくてこの曲を作ったんだ。 「…ありがとう、お母さん。」 そう言って、抱きしめたお母さんを優しく、抱きしめ返して微笑んだ。 そうだ。曲名、決めたよ。 「ライブ開始5分前です!スタンバイお願いします?!」 「…曲名決まった?」 恐る恐る聞いてくるお母さんに私は微笑みながら、 「うんっ!決まった!完璧だよ!」といった。
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