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5話 私のなりたいもの
高校3年生になった私は、あるものになりたいと思っていた。
それは、『歌い手』というものだった。
なりたいと思ったきっかけは単純で、
"私が歌った歌を世界の人に聞いて貰って、幸せにしたい。そして、おかあさんには、私の歌を聞いて笑顔になって欲しい。"
ただそれだけの事だった。
ある日、学校から進路調査表が配布された。その時、私は第1希望の欄に『歌い手』と書こうとしたが、やめた。
これは、私だけの話ではなかったから。おかあさんは、私には大学まで行ってほしいという思いがあるはず、なのに私が今ここで歌い手と書いてしまったら、おかあさんの、信頼を裏切ってしまう。私にはそんな事は出来なかった。
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