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銀色の中枢都市を離れ、彼女が辿り着いた瓦礫だらけの町外れには幼い少年が一人きりで住んでいた。
手入れのされていないボサボサの髪して、
汚れて黒い顔して、
砂埃で白が黄色く燻んだ服を着て、
縫い目の荒い粗末な靴を履いた子。
「……誰?」
そして、濁った瞳で彼女の顔と膨らんだお腹を不思議そうに見ながら、少年は彼女に尋ねた。
「私はアイリ。あなたは?」
走ったせいで上がった息と、張ったお腹を擦りながらアイリが聞き返すと、
「タク」
少年は短く、そう名乗った。
黄色い太陽の照りつける暑い日の午後。
町外れにある、四角いタクの家の前。
そこで二人は出会った。
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