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タクには両親……という存在が居なかった。
彼が一人だと気付く前から。
何故かは詳しくは知らない。
だけど、誰かに「失敗作」だと言われたのは、タクの記憶の隅に微かに残っていた。
だからタクはアイリの存在も、赤ちゃんという生き物が居るというそのお腹も不思議だった。
ソファーに座ってコップの水を飲み終えたアイリが、じっとお腹を見ていたタクに話し掛ける。
「どうしたの?……あ、お腹か。珍しいものね」
と、いとおしそうにお腹を擦った。
「昔はね、こうやって人のお腹で人を育てて、子孫を増やしたのよ」
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