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……ポコン。
「あ、今の?」
「うん!」
タクはドキドキした。
夜の星の様に神秘的で素敵な出来事に。
「……タク、笑った」
「え?」
「やっと、人らしい……タクらしい顔になった」
アイリの言葉に、タクは初めて頬が赤く染まる。
「か、顔が何だか熱いよ」
戸惑っていると、アイリが言った。
「タク、それが人間よ」
「僕、今……アイリみたい?」
表情の沢山ある、アイリみたい?
と、タクは尋ねた。
「……そうね」
アイリが言う。
「タク、赤ちゃんが産まれたら、この子のお兄ちゃんになってね」
と、タクの頭を撫でながら。
「……うん!」
アイリの事も、お腹の赤ちゃんの事も、そして、笑える様になった自分の事も タクは大好きになった。
黄色い陽の当たる四角い家の、幸せな時間。
だが、それは永くは続かなかった。
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