高木宗太の場合

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音楽プロデューサーとして名を馳せた人だ。 宗太はリアルタイムで彼の音楽には触れていないが、彼が作った音楽は歌詞を全部覚えてしまうくらい、耳に馴染んでいる。 似たような構成で作られた曲が多いにも関わらず、どの曲もカッコいい。 宗太が憧れる音楽人の一人だ。 値段を確認すると、他の色眼鏡は30万から40万くらいの値段なのに、タクヤの色眼鏡だけが、格安の25万だ。 なぜタクヤの色眼鏡だけが安いのか少し気になったが、買うなら、絶対タクヤの色眼鏡だ。 すぐに男性店員に声を掛けた。 男性店員は宗太の声に反応して、顔を上げて微笑むと、すぐにやって来た。 「タクヤの色眼鏡が欲しいんですけど、これで買えますか?」 宗太が差し出したギフトカードを見た店員は、 「はい、もちろんでございます。」 と言った後で、少し曇った顔に変わった。 宗太は、不安になりながら、タクヤの写真に視線を落として、気が付かないふりをした。 「こちらのカードはお釣りが出ません。この色眼鏡ですと、残金が5万円ほどでてしまいす。オプションや消耗品に回す事も出来ますし、このまま使わずにカードに残しておくことも出来ます。どういたしましょうか?」 宗太は安堵した。 25万円なんて持ってない。 これでは買えませんと言われたらどうしようかと考えていた。 「カードに残してもしょうがないので、全部使ってください。」 「かしこまりました。オプションのご案内も一緒にさせていただきます。こちらへ。」 別室に案内され、個室カウンターの椅子に腰かけた。
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