菅原雄太の場合

7/15

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
それから、検体探しが始まった。 菅原と相馬で、どんな人が相応しいかをとことん話し合った。 この検体探しは、この企画にとっては肝だ。 二人で、出来る限り議論を重ねた。 先天性全盲で、日常を前向きに捉えていた人。 性別は男。 出来る限り感情的に物事を判断する人を避けたい。 そして、出来る限り若い人。 脳の中の視覚部分が退化していることを避ける為だ。 それに、第一子は避けたい。 真面目過ぎる性格や、気難しい性格もない方がいいからだ。 家庭環境もかなり大事だ。ごく一般的な家庭でごく普通に育った人が理想だ。 こうやって、いくつかの項目を設定していき、人柄を探る。 ある程度、搾れたら、今度は実際に近い人物像であった脳を探す。 目星はすぐについた。 田中康太は事故に遭い、24歳でこの世を去っている。 4人兄弟の末っ子。 彼だけが先天性全盲で、一番上は女、後は男という兄弟環境だ。 彼ほど、条件にぴたりと来る人物はいないと思われた。 早速菅原は、田中康太の実家へ向かった。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加