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それから、検体探しが始まった。
菅原と相馬で、どんな人が相応しいかをとことん話し合った。
この検体探しは、この企画にとっては肝だ。
二人で、出来る限り議論を重ねた。
先天性全盲で、日常を前向きに捉えていた人。
性別は男。
出来る限り感情的に物事を判断する人を避けたい。
そして、出来る限り若い人。
脳の中の視覚部分が退化していることを避ける為だ。
それに、第一子は避けたい。
真面目過ぎる性格や、気難しい性格もない方がいいからだ。
家庭環境もかなり大事だ。ごく一般的な家庭でごく普通に育った人が理想だ。
こうやって、いくつかの項目を設定していき、人柄を探る。
ある程度、搾れたら、今度は実際に近い人物像であった脳を探す。
目星はすぐについた。
田中康太は事故に遭い、24歳でこの世を去っている。
4人兄弟の末っ子。
彼だけが先天性全盲で、一番上は女、後は男という兄弟環境だ。
彼ほど、条件にぴたりと来る人物はいないと思われた。
早速菅原は、田中康太の実家へ向かった。
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