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菅原と相馬は、康太色眼鏡の功績が認められ、異例の大出世をした。
万年平社員だと思っていた自分がこの会社の常務としてこの場所にいる。
狭苦しい企画部の部屋を飛び出し、広いとは言えないけれど、この椅子に座って見える景色は格別だ。
そして、相馬は一つ上のフロアーで専務として従事している。
今でも菅原の上司だ。
あの時、相馬がいなければ、菅原の成功はありえなかった。
この会社は、正当な判断を下してくれた。
この上ない喜びの上で、仕事が出来る幸せをかみしめている。
何より感謝を伝えなければいけない人がいる。田中夫妻だ。
あの時、康太の脳を検体に出してくれなければ、ここ来ることは出来なかっただろう。
そしてもう一人、他でもなく田中康太、本人だ。
康太の色眼鏡は、文字通り菅原に素晴らしい世界を見せてくれた。
(君にも見えている?この景色を気に入ってくれるかな?)
机の上に置かれた康太眼鏡を指でなぞった。
田中康太と言う人に思いを馳せながら、感謝の念を忘れない様に生きて行きたい。これからも、ずっと。
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