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久しぶりの休みの日、屋上の雨の当たらない所に置いてあるベンチで、三角座りして縮こまりながら土砂降りの雨を見ていると、真大さんが上がってきた。 そっと隣に腰をかけ、黙ってそばにいてくれている。 暫く座って空を見ていたが、「髪、伸びたよね。切りに来ない?今ならカットモデル、ディナー付きで」 「ディナー付きって」 「すっごく勇気振り絞って告白したのになー」 そう言いながらも、手と手は触れ合ってはいる。 とても安心する綺麗な手。 でも、男らしくて少しゴツゴツもしている。 「いつ……空いてますか?」 「もー、普通に話してよ。明日どう?遅くなりそう?」 「早く終わる予定だから、お店に行くの前より早くついちゃいそうで」 んー!と何かを考えながら携帯で電話をかけ、いくつか確認ごとをしてから、「明日のラストのお客様、穂乃果ちゃんにしたから。と言ってもモデルだけど」 「そんな……他のお客さんは?すっごく人気って聞いたし」 「もっと人気になりたいよ?綺麗になってもらって、笑顔でまたねって言って貰えるのが嬉しいし。だから、もっといろんなことを身につけたいと思ってる。でも、大切に思ってる人を大切にできなきゃ、ダメなんだよな……とも思ってる」 「真大さん……」 「明日、18:00。思いっきり急いで来て!」
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