8/9
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
その悩みと違う悩みが大半なんだけど…… そんな事は言えない。 同居人として……そう思えば思うほどに苦しくなってくる自分がいたから。 食後、家までをゆっくりと歩く時、さりげなく人混みを避けて歩いてくれる。 いつの間にか手が繋がれており、見上げる横顔はいつもよりも男らしく見える。 そんな時間はあっという間で、「この四角( よつかど)を曲がったら家だけど……」 「うん」 「俺は、やっぱり穂乃果ちゃんが好きだよ」 「私も、ずっと好き……でした」 「え?過去形?」 「前にも言おう言おうと思ってても言えなくて。だから……」 「俺と付き合ってくれる?」 コクンと頷くと、やった!と小さくガッツポーズをしながら道を曲がる。 「前、この手を離したくなかったんだ。今日はこのまま家に入ってもいい?」 「恥ずかしいんだけど……」 「もう、バレてると思うよ?」 突然後ろから声が聞こえて振り向くと、タケさんがニヤニヤと笑ってこっちを見ている。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!