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その悩みと違う悩みが大半なんだけど……
そんな事は言えない。
同居人として……そう思えば思うほどに苦しくなってくる自分がいたから。
食後、家までをゆっくりと歩く時、さりげなく人混みを避けて歩いてくれる。
いつの間にか手が繋がれており、見上げる横顔はいつもよりも男らしく見える。
そんな時間はあっという間で、「この四角を曲がったら家だけど……」
「うん」
「俺は、やっぱり穂乃果ちゃんが好きだよ」
「私も、ずっと好き……でした」
「え?過去形?」
「前にも言おう言おうと思ってても言えなくて。だから……」
「俺と付き合ってくれる?」
コクンと頷くと、やった!と小さくガッツポーズをしながら道を曲がる。
「前、この手を離したくなかったんだ。今日はこのまま家に入ってもいい?」
「恥ずかしいんだけど……」
「もう、バレてると思うよ?」
突然後ろから声が聞こえて振り向くと、タケさんがニヤニヤと笑ってこっちを見ている。
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