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お隣さんの名前は、ダニエル。
魔術師で、歳は二十五。魔術学院の研究室に籍を置きつつ、それだけでは食べていけず教鞭を取っているという。
研究テーマは、時空の調整によって異世界との行き来を可能にできるか、ということらしい。
まとめると、そんな感じだ。
「私の名前は、風花です。職業は会社員、歳は二十四です」
『そうか、フウカ。そろそろ時間のようだ。次はまた、もう少し長く交信できるようにする』
風花が短い自己紹介をすると、制限時間になってしまったようだ。
「あの、ダニエル。おやすみなさい」
間に合うどうか、一応声をかけてみた。
『おやすみ、フウカ』
消え入りそうになりながらも、ダニエルの返事が届いた。
ただそれだけのことに、風花の胸はぽっと温かくなる。
(久しぶりに、誰かに「おやすみ」って言われたな)
そうして、風花とダニエルの奇妙な交流が始まったのだった。
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