もしもし、お隣さん

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 そんなある日のこと。 (……何か、めちゃくちゃ身体が熱いし、うまく息が吸えない感じがする)  朝から感じていた違和感は少しずつ大きくなっていき、仕事を終え帰宅する頃には、風花はボロボロになっていた。  何とかメイクを落として部屋着に着替える頃には体力は尽きかけ、倒れるようにベッドに横になる。 『もしもし、フウカ。聞こえるだろうか?』  ベッドに倒れると意識を失ったように眠っていたから、夢うつつの中でその声を聞いた。  いつもと同じ、穏やかなダニエルの声だ。その声が弱った身体に沁み入るようで、風花は何だか泣けてきてしまった。 「……聞こえるよ、ダニエル。でも、私、風邪ひいちゃったみたいで……ごめんなさい」 『フウカ? ひどい声だ。大丈夫なのか?』 「うん……寝たらよくなる。……ごめんね」  ダニエルは研究のためにこうして壁越しの会話をしているのにと思うと、申し訳なさが募ってくる。自分はただ楽しんでいるだけだけれど、彼にとっては立派な研究なのだ。交信相手がこうして使いものにならない日は、それだけ研究が滞ってしまう。そう考えて、風花は申し訳なさに凹んだ。
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