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先生が私の前から消えた後、私は第一志望だったこの大学に合格した。
ここは、鏑木先生の母校で、先生の尊敬する恩師がいる大学。
先生はこれまで、授業中や二人でいる時に、いろんな話を聞かせてくれていたから、いつの間にか先生と同じ道を目指したいと思うようになっていた。
この大学を志望していることは、先生に は言ってなくて。
合格したら報告しようと思っていたんだけど。
結局、報告できないままになってしまった。
でも、まさか、、、この大学の大学院に通ってて。しかもあの教授の研究室にいたなんて。。。
大学院棟と大学棟は同じ敷地内にあって、建物自体もそんなに遠くはないのに。
この3年間、遭遇しなかったのが…嘘みたい。
、、、本当は、卒業するまでのあと1年、遭わずに過ごせたらよかったのに。
私はとっくに前に進んでいるし、今だって、大切にしてくれてる彼氏との関係も順調だし。
なのに、、、なんで、今さら。
<なあ、、で? どうする? 今夜、どっちの家にする?>
あぁ、、、今夜は私も彼も、久しぶりにバイトも用事もないから、どっちの家に行こうかって相談中だったんだ。
『うーん、どっちでもいいけど、、、明日、私、朝早いから、、うちのがありがたいかな』
と、とっても日常的な会話を中庭でしていたのに。
「あれー? 凪子? 珍しいねー、校内で会うの」
フラーっと、私たちの目の前に鏑木先生が現れた。
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