第一話 嵐の夜

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「《カエゴ》として生きる定めは辛いんべえ。今此処で、子返しされるが幸せかもしれねえ」  明日は、十九。夜講が開かれる日。 「そん時、《オニメ様》にお許しをもらうんべえ」  遂に、老婆は決断した。  産屋の外は相変わらず、どしゃぶりの雨が降り続ている。雨音の僅かな隙間から、聞こえてくるのは女たちの淋しげな歌声だった。
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